信頼性向上への取組み

第11回原子力安全信頼会議

平成28年11月2日,当社は第11回原子力安全信頼会議を開催しました。

議事概要

<議事概要>
1.日 時   平成28年11月2日(水)12:30~15:00

2.場 所   志賀原子力発電所   
 
3.出席者  【委員】石田委員長,大橋委員,大場委員,庄田委員,中村委員,能木場委員,
         菱沼委員(計7名)
     【当社】金井社長,赤丸副社長,西野副社長,石黒常務,園常務,
         髙橋原子力部長,古谷志賀原子力発電所長,吉村地域広報部長,桑原地域社会部長,
         河合総務部法務室長,小田土木部部長,大西品質管理部長(計12名)

4.議事要旨

(1)北陸電力からの説明

 ・ 金井社長の開会あいさつ後,「最近の原子力を巡る動向」,「志賀原子力発電所新規制基準適合性
   確認審査(敷地内シーム)の状況」,「志賀原子力発電所2号機原子炉建屋内への雨水流入事象の対
   応状況」,ならびに「志賀原子力発電所の状況」として「新規制基準を踏まえた安全性向上工事の状
   況」および「運転員の事故対応パフォーマンスの改善」について説明し,質疑応答を交えご意見を伺い
   ました。
   また,原子力発電所2号機原子炉建屋内への雨水流入箇所および安全性向上工事を視察いただき
   ました。

(2)委員からの主な意見 

<最近の原子力を巡る動向>

 ・ 平成28年8月に締結した原子力発電事業者間の相互協力協定は素晴らしいことだと思うが,その中の
    「原子力部門トップによるテレビ会議を活用した発災事業者に対する助言等の支援」については,福島
    第一事故の教訓を踏まえ,外部からの色々な助言等によって発災事業所が混乱しないよう留意し,支
    援等の協力内容を具体化していってほしい。

 ・ 原子力の安全性や必要性が,グローバルな視点で社会に理解・浸透していない。政治やマスコミなど社
   会全体の課題であるが,原子力発電事業者としても,地道に原子力の安全性や必要性の理解・浸透に
   努めてほしい。

 ・ 敷地内シームの活動性の有無は,原子力規制委員会の新規制基準審査だけでなく,裁判においても最
   大の論点。追加調査した結果を裁判所に提出するとともに,大雨等の他の自然現象に関する論点にも
   目配りして,裁判所が公正に判断できるようにしてほしい。

<志賀原子力発電所2号機原子炉建屋内への雨水流入事象の対応状況>

 ・ 仮設ポンプ容量について,想定外とは言えないレベルの大雨の際に対応できるような想定をしなかった
     ことが問題。他の場所で発生している大雨等による事象を,自分たちの安全にフィードバックできなかっ
     たことを真剣に反省すべき。

 ・ 津波対策として,標高15.3m以下の水密化を優先したことは理解できるが,今回のように15.3mを超えて
     いる高さであっても雨水が流入して安全性に危機が生ずる。単純に標高からの数値だけで工事を優先さ
     せずに,そもそも論で外部溢水になる事象がどのようなものがあるのかを考え,判断してほしい。

 ・ 今回の事象で,トレンチ内の状況を直接確認しなかったことに関する再発防止策の検討にあたっては,
     適切なホウレンソウ(報告・連絡・相談)が取られなかったことを反省し,なぜそれで良しとしてしまったの
     か,現場がルールどおり対応できない場合のホウレンソウのあり方や,社内コミュニケーションのとり方に
     ついても検討を深めてほしい。

 ・ 一般的に,マニュアルを作る人は仕組みを理解し考えるため,深い知識を身につけられる。一方,マニュ
     アルを使う・守るだけの人は何も考えなくなりがち。現場・現物・現実で確かめ,それとマニュアルが合わ
     ないなら変えていくことで,同じように理解を深めることができる。

 ・ 今回の事象を聞いて,ベテランが持っている危機に対する勘ドコロが,若手に技術継承されていないの
     ではないかと感じた。 ベテランと若手がお互いに「待ち」の姿勢になっているのではないか。若手はどん
     どん疑問点を出す,ベテランは積極的にそれに答える,そのようにして技術継承を進めていってほしい。

 ・ 原子力技術は,思いがけないことや何らかの脆弱性が浮かび上がることを考えて安全設計されており,
     バックアップや深層防護などで対応するように作られているが,今回の事象については反省すべきところ
     はしっかりと反省してほしい。何かが起こると非難が集中する傾向にあるが,一方で技術のあり方や安全
     確保の考え方をないがしろにすべきではないと思う。

 ・ 事象発生後の説明を聞いて一番気にかかったのが,警報が鳴ったにもかかわらず,その原因を確認し
      なかったこと。すぐに原因を確認していれば雨水流入という事象は起きていなかったのではないか。問題
      が発生したときに,二重三重に管理・チェックする体制をつくって欲しい。

 ・ 専門化・分業化が進むと,自分の担当分野にのみ意識が集中しがち。全体を見渡せ,全体の構造を把
        握できる所員が配置されていれば,今回のような事象が発生するかもしれないという発想ができたので
    はないか。

 ・ 雨水流入事象が起きて一番がっかりしているのは,所員自身ではないか。安全モラルも向上し雰囲気も
        良くなっている中で,今回の事象は水を差す行為である。事の重大性を認識してほしい。

 ・ 一般の方々は,マスコミから情報を得るため,マスコミの方にきちんと事実や状況を知っていただいた上
  で記事を書いていただくことが重要である。そのためには,時に現場を見ていただくような対応を考えて
  はどうか。もっと積極的な情報開示,あるいはそれらを行う姿勢を持つべき。

   ・ 原子力発電所はいろいろなセンサーを使っていると思うが,IoT,AIを積極的に取り入れていけば,
       今回の雨水流入のようなことは防げたのではないか。

 ・ 最近の気象は,昔では考えられない突然のゲリラ豪雨もある。気象情報にも十分に注意し,原子力発電
   所の安全性の確保に努めていただきたい。

 ・  これまで築いてきた地元との信頼関係も,今回のようなことが起こると一瞬で崩れ去ってしまう。これを糧
   として今後の対策を十分に検討し,前向きに進んでいただきたい。

 <全体その他>

 ・ 発電していない発電所で働いている皆さんにとって一番大事なことは,士気を維持し続けていくことであ
  る。容易ではないと思うが,これを堅持し,有用なエネルギー供給の一角を担っているという強い意識を
  もって,最新の技術を取り入れた未来に相応しい原子力施設の運用に心掛けていただきたい。                                                                       

                                                 以 上 



会議の様子1 

会議の様子2

視察の様子1

視察の様子2