4.日本の電源構成
日本のエネルギー政策
1973年の第一次石油危機などの経験を踏まえ、石油依存からの脱却を図るべく、天然ガスや原子力、再生可能エネルギーの普及拡大など、エネルギー源の多様化を進めてきました。
東日本大震災前、2010年度の電源別発電電力量の割合は、液化天然ガス(LNG)が29%、石炭が28%、原子力が25%、石油等が9%、水力が7%、地熱および新エネルギーが2%となっていました。しかし、2011年3月の福島第一原子力発電所の事故以降、全国の原子力発電所は順次停止し、2014年度の原子力の割合は0%となりました。
積極的に再生可能エネルギーも導入されていますが、震災後は、停電を防ぎ、電力の安定供給のために、それまで老朽化により休止していた火力発電所を再稼働させたり、最新の設備に置き換えて発電効率を高めるなど、火力発電を増強して電力をまかなってきました。
これにより、火力発電の割合は、2010年度の66%から、2014年度は88%に増えています。これは、日本のエネルギー供給体制の見直しを行うきっかけとなった、1973年の第一次石油危機当時の化石燃料への依存度(80%)よりも高い数値となっています。直近の2022年度においても73%と高い依存度となっています。
日本は、特定のエネルギーに依存するのではなく、エネルギー資源の安定確保や私たちの生活や経済活動に影響を与える電気料金、地球温暖化への対応などを考慮しながら、バランスのとれた「エネルギーミックス」を目指していくことが重要です。
<日本の電源構成別の発受電電力量の推移>

出典:原子力・エネルギー図面集
<参考>主要国の電源構成比
主要国の電源構成は、資源の有無や保有する資源の種類等によって異なっている。日本は少資源国でエネルギー自給率が低いため、エネルギー確保とリスク分散の観点から電源の多様化を図っています。

出典:原子力・エネルギー図面集
フランスを中心とした電力の輸出入
ヨーロッパは送電網が発達しており、各国で電力の輸出入が行われている。なかでもフランスは近隣諸国へ多くの電力を輸出している。一方、日本は島国であるため電力が不足しても外国から輸入することはできません。

出典:原子力・エネルギー図面集
北陸電力の発電電力量構成比 ~水力発電の比率は全国でトップ~
当社の電源構成は、北陸地域の豊かな水資源を活かした水力発電比率の高さが特徴です。水力発電比率(25%)は旧一般電気事業者の中ではトップとなっています。
震災以降、原子力発電所が停止し、その代替として火力発電所の高稼働が継続していますが、今後も志賀原子力発電所の再稼働をはじめ、費用対効果を踏まえた再生可能エネルギーの開発に着実に取り組み、更なる電源の多様化・脱炭素化に努めていきます。
<北陸電力の発電電力量構成比(自社小売需要に対する構成比)>

出典:北陸電力グループ統合報告書2025
<北陸電力の発電設備の推移(箇所数・認可出力)>

出典:北陸電力グループ統合報告書2025
需要の変化に対応した電源の組み合わせ(1日の電気の使われ方と作り方)
下の図は、1日の電気の使われ方と発電方法を表したものです。電気の消費量は時間帯や季節によって違います。電気は大量に貯めておくことができないため、電力会社は刻々と変化する消費量を予測し、消費量と一致するように、24時間、365日休まず発電を続けています。
再生可能エネルギーは季節や天候によって発電量が変動し、安定供給のためには火力発電などの出力調整が可能な電源や、蓄電池と組み合わせてエネルギーを蓄積する手段の確保が必要です。

出典:原子力・エネルギー図面集