安定供給を支える設備
北陸電力送配電の設備は、主に送電設備と配電設備に分けられ、送電設備は発電所から変電所へ電力を送るための設備で送電線や鉄塔などが含まれます。配電設備は変電所から各家庭や工場へ電力を供給するための設備で、電柱、電線、変圧器などが含まれます。
北陸電力送配電は、これらの設備を維持管理し、北陸エリアの安定的な電力供給を担っています。
電力系統図

安定供給を支える主な設備
送電設備、変電設備、配電設備、通信設備の情報はこちら。
代表的な設備の更新計画
当社は、電力広域的運営推進機関の「高経年化設備更新ガイドライン」を長期方針に取り入れています。
工事量・投資額・施工力を考慮し、リスク量維持と安定供給確保のため、最適な設備更新計画を策定しています。
鉄塔
巡視点検により錆の状態を把握し、塗装または部材交換を行うことで最大限延命化しています。
高経年化設備のなかでも、公衆安全の観点から電線地上高の低い鉄塔や、鉄塔強度が低い旧規格の鉄塔、メーカー製造中止により電線補修ができない鉄塔を優先的に建替しています。
長期的には、60基/年程度の建替を見込んでおり、季節間の工事量を平準化して、施工力を最大限活用しながら、計画の確実な遂行を図っています。

(参考)公衆安全の確保
送配電設備の周辺環境の変化に伴い、電線の地上高さが十分に確保できなくなった設備は更新を行い、公衆安全を確保(電線との接触防止)しています。
また、台風などの自然災害時に倒木や飛来物が原因で、電柱・電線が支障となり交通網に影響を与える恐れがあるため、無電柱化に取り組んでいます。

送電線
更新設備の優先順位付けは、高経年GLの寿命評価式をベースにしつつ、当社の撤去電線のサンプル試験結果により、施設環境(湿度・塩分量)に応じて劣化評価の補正を行い、更新時期を最適化しています。
なお、撤去電線サンプルは継続的に収集し、評価の精緻化を図っています。
長期的には、80~90km/年程度の電線張替を見込んでおり、鉄塔建替との同時実施により効率化を図りつつ、施設年度別の設備量にバラツキがあるため、工事量の平準化を考慮して計画を策定しています。

変圧器
劣化の進展に伴い、応急修理(漏油補修)や抜本的な対策(パッキン取替、付属部品取替)を実施して延命化しています。更新計画は、漏油等の劣化進展度合いや、寿命決定要因となる絶縁紙の劣化診断結果等を踏まえ、優先順位をつけて策定しています。
最近の取組みとしては、変圧器に流れる潮流の大きさに応じて、変圧器の寿命に影響を及ぼす絶縁紙の劣化をシミュレーションすることにより、更新時期を10~20年延長しています。
長期的には、9台/年程度の更新を見込んでおり、平準化した計画を着実に遂行していきます。

(参考)水害対策 -設備更新に合わせた供給信頼度の向上-
自然災害の多頻度化・激甚化を受けて、設備更新に合わせた変電所の水害対策を実施し、供給信頼度を向上しています。
洪水ハザードマップにより水害の恐れのある変電所については、短期的対策として、建物への止水板設置、貫通部止水処理等を実施し、中長期対策として、設備更新に合わせて建物フロアレベル・開閉装置等の嵩上げを実施しています。

コンクリート柱
コンクリート柱は、内部鉄筋の腐食によりコンクリート柱の強度が低下するため、コンクリートのひび割れ等の外観の劣化状況と、内部の劣化想定を基に優先順位を付けて、更新計画を策定しています。
最近の取組みとしては、巡視点検における判定基準となる「サンプル写真集」の改善や、「コンクリート柱内部の劣化進行速度の研究を行い、更新時期の精緻化を図っています。
長期的には、5,900本/年程度の建替を見込んでおり、将来の工事量が増加傾向にあることから、更新経年目安の更なる延伸、施工力の維持・向上に向けた取組みを行っています。

(参考)樹木倒壊対策 -設備更新に合わせた供給信頼度の向上-
コンクリート柱の更新に合わせて、樹木倒壊により停電が発生する可能性が高い区間については、樹木区間を避けて別ルートから供給する対策や地中化による対策を実施し、供給信頼度を向上しています。

高圧電線
高経年化設備のなかでも、公衆安全の観点から故障実績を踏まえ、旧型電線(旧撚り線タイプ等)を優先的に更新しています。
長期的には、1,500km/年程度の電線張替を見込んでおり、コンクリート柱建替との同時実施により効率化を図りつつ、施設年度別の設備量にバラツキがあるため、工事量の平準化を考慮して計画を策定しています。

その他の設備
鉄塔やコンクリート柱等以外では、送電ケーブル、遮断器、高圧ケーブル、柱上変圧器等の設備についても高経年化対策が必要であり、長期的な観点で適切な工事量レベルを見定めて計画しています。
