会議の様子 1

第28回原子力安全信頼会議
2025年10月22日、当社は原子力安全信頼会議を開催しました。
議事概要
1.日 時 2025年10月22日(水) 10:15~11:50
2.場 所 当社本店ビル
3.出席者
【委員】
石田委員長、大場委員、倉田委員、能木場委員、山口委員、山森委員(計6名)
【当社】
松田社長、小田常務、福村常務、放生志賀原子力発電所長、谷内地域共創部長、布谷原子力部長、古谷原子力本部専門部長、吉田土木建築部長、北見原子力本部地域社会部長、塚本品質管理・原子力安全推進部長(計10名)
4.議事要旨
(1)北陸電力からの説明
今回は、本店ビル1階に新たに開設した「北陸電力アーカイブギャラリー※1」をご視察いただいた後、「志賀原子力発電所における最近の取組状況」、「能登半島地震の復興支援活動」及び「新規制基準適合性確認審査(地震津波関係)の状況」を説明し、質疑応答を交えてご意見を伺いました。
※1 北陸の電気事業の歩みや先人たちが電源開発にかけた熱い想い、地域とともに歩んできた歴史を振り返えることができるギャラリー
(2)委員からの主な意見
- 「北陸電力アーカイブギャラリー」を北陸電力だけではなく北陸地域全体の電力史として企画するという心意気が素晴らしい。また、志賀原子力発電所において、従来は原子力部門のみで実施していた「安全と公正・誠実の誓いの会(※2)」を全社的な取組としたことは、非常に興味深く素晴らしいと思う。 (※2 臨界事故隠しの教訓を次世代に受け継ぐため、安全の誓いをたて、過去の失敗を語り継ぎ、風化させずに継承していくことを誓う会)
- 「安全と公正・誠実の誓いの会」は、「不都合なことでも隠してはいけない」という社長の強いメッセージや安全最優先といった価値観をしっかりと社員一人ひとりに伝えることができ非常に良い活動である。また、例えば全社員に対する志賀原子力発電所への見学会後に見学者同士でディスカッションを行うなどして、社員一人ひとりの心にしみ込ませることが重要であり、何を感じてどのような価値観を受け取ったのかを経営層にしっかりフィードバックし把握することが、会社全体として安全文化を醸成する上で大切である。
- 所員を他電力に派遣して知識、技能を上げることはとても良い取組であるが、例えば稼働中のプラントでは被ばく低減が重要であり、時間管理や作業管理をどのように実施するのかを実プラントでしっかりと勉強してもらう良い機会であるため、これらに携わる分野の社員の派遣を検討いただきたい。また、派遣者に何を学んでほしいのか、何をフィードバックしてほしいのかということを彼らに伝え、さらに、北陸電力の足りないところはもちろん良さについても感じてもらいたい。
- 令和6年能登半島地震では、関係機関が混乱の中、志賀原子力発電所に係る情報が地元住民の方々にきちんと伝わっていなかった。また、避難訓練が実際に起こりうる災害に対応しているとは言い難いとの声もある。今後は、より現実に即した避難訓練や正確な情報発信・提供が確実に実施できるよう、関係機関としっかり連携していただきたい。
- 志賀原子力発電所を視察し、耐震補強や組織的な安全管理の状況をこの目で確認すると理解が深まり安心感を得るとともに不安が軽減された。このように志賀原子力発電所の信頼性向上のためには、地元の方々や関係者に発電所をよく理解してもらうことが非常に重要である。そのためには発電所施設や所員が働いている状況を多くの方々に見てもらうことが一番大事である。発電所は、セキュリティーの確保が極めて重要であるため物理的な防護壁があるが、地元の方々の心理的な防護壁を低くして安心感を持っていただけるよう発電所を視察する機会を増やしていただきたい。
- 電力会社及び原子力事業の信頼に繋げるため、原子力発電所を有する電力各社が共同で良好事例を発信していくことが必要である。また、北陸電力個社で発信する場合は、地元の信頼を得るために安全への取組を広報誌などを活用して広くアピールしていただきたい。
- 原子力規制検査における核物質防護に関する指摘事項「防護区域及び周辺防護区域入域時における点検未実施等」について、核物質防護は悪意ある者がいることを前提に実施するものである。したがって、規則を緩めることはあってはならない。規則を遵守してかつ点検を効率的・合理的に実施する方法を工夫するよう検討してもらいたい。
- 志賀原子力発電所の外部電源について、5回線すべてからの受電を復旧したことは、世の中にしっかりとアピールするべき大変良い取組である。一方で、今回の地震による設備復旧に係る教訓としては、サプライチェーンの縮小や人材不足により材料や資機材の入手にも時間を要すなど、調達がとても大変だったと聞いている。このため、今後発電所の運営にあたっては、ある程度の調達リスクを考慮する必要がある。
- 能登半島地震への復興の取組に関して、繰り返し現地に行くことが地元の方々への「忘れていない」というメッセージとなり、北陸電力グループが掲げる「こころをひとつに能登」というキャッチフレーズに繋がっていると思う。また、同キャッチフレーズの電柱広告を多く見かけるようになり、能登の方々は大変勇気づけられている。しかし、一部市町には展開されていないようなのですべての市町に広げていただき、被災された方々、復興に携わる方々と北陸電力グループの皆さんのこころがひとつになればよいと思う。
- 北陸電力の「花を届けようプロジェクト」では、奥能登2市2町にだけではなく、10月に志賀町の全仮設住宅(10団地)にも花苗を届けていただき、皆さんと一緒にお水をやるなどコミュニティの場所にもなっており本当に感謝している。先日、珠洲市を訪れた時には「被災者の心が晴れて明るい顔になっている」と聞いた。被災者に代わってお礼を申し上げる。
- 能登半島地震の震源断層の長さについて、国が評価した長さ約150㎞よりも安全側に評価して、約178㎞区間の断層の連動を考慮するというのは、規制リスクのマネジメントという意味では適切であり安全への取組に対する信頼を構築していく上で大変意義がある。一方、断層をより長く見積もって地震動の評価をすることは安全側に立った良いことに見えるが、防災対策が過剰になるおそれがあるなど、安全性を追求することの裏に隠れたリスクにも配慮する必要がある。
- 例えば平成28年(2016年)熊本地震では、今後30年以内に大きな地震が起きる可能性は非常に低いと評価されていたのに実際に地震が起きたことなど、地震の評価に対する不確かさが増加しているため、耐震安全の評価に際して安全側に評価したことをなぜそのようにしたのかという理由をしっかり伝えたり、しっかり説明できるようにすることが必要であり、そのことが技術に対する信頼や規制との対話でも重要なポイントである。
- 国の断層審査に継続的に取組み苦労しながらも進捗してきたが、これをクリアした後にはプラント審査となり、様々な課題も出てくると思う。経営的には審査がいつ頃終わっていつ頃再稼働できるかということが重要であることから、課題に対して丁寧な対応をとるようお願いしたい。
5.社長総括コメント
歴史展示施設「アーカイブス有峰」が2024年に閉館したことに伴い、有峰水力開発の歴史だけでなく、幾多の電力再編の中で北陸地域の独立性を保った経緯、電源の多様化を目指した電源開発等、北陸地域の電気事業の歴史を広く紹介するため「北陸電力アーカイブギャラリー」を本店ビルに開設した。
アーカイブギャラリーを開設することで、社外の方に北陸電力の地域への思いや理念を共有する場にしていきたい。また、社員には自分の会社のアーカイブを認識することで、過去があることで今があり、そして未来へと繋げていく意識を持ってもらいたい。当社として重要な位置づけである志賀原子力発電所についてもアーカイブに記載しており、開発に携わった諸先輩方の気持ちを余すことなく繋げていきたい。
志賀原子力発電所に対する不安感の解消のため、新規制基準への対応設備や所員が働いている状況を多くの地元の方に見ていただくことや、情報発信の際にはトラブル情報と同等に「問題ない」という安全情報も大事であることから、発信するタイミング・方法について検討していく。また、近年問題となっているサプライチェーン縮小等の調達リスクへの対応についても検討していきたい。
本日の会議でいただいたご意見、ご示唆をしっかりと受け止め、志賀原子力発電所の安全性・安心感を高めて、地元の皆様のご理解を得ながら一日も早い再稼働を目指していきたい。
会議の様子 2
会議の様子 3
「北陸電力アーカイブギャラリー」ご視察の様子
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