信頼性向上への取組み

第20回原子力安全信頼会議

 2021年11月22日,当社は原子力安全信頼会議を開催しました。

議事概要

1.日 時 2021年11月22日(月)13:30~15:40

2.場 所 金沢電気ビル

3.出席者 【委員】石田委員長,大場委員,髙松委員,能木場委員,
          山口委員              (計5名)
      【当社】松田社長,石黒副社長,塩谷常務,小田常務,
          木村地域社会部長,福村原子力部長,藤田土木建築部長,
          放生志賀原子力発電所長,古谷原子力本部専門部長,
          新山地域共生本部部長,谷内環境・地域共創部長,
          村杉品質管理・原子力安全推進部長
                            (計12名)

4.議事要旨

(1)議事概要

 今回は,「志賀原子力発電所 新規制基準適合性確認審査(敷地内断層・周辺断層)の状況等」,
「柏崎刈羽原子力発電所で発生した核物質防護事案を踏まえた当社の対応状況」,「緊急時対応
体制の充実に向けた取組み」を説明し,質疑,応答を交えてご意見を伺いました。

(2)委員からの主な意見

<志賀原子力発電所 新規制基準適合性確認審査(敷地内断層・周辺断層)の状況等>

・原子力規制委員会の敷地内断層等の現地調査の際に,上載地層法と鉱物脈法に関する北陸電力の
 説明が一部十分ではないとの指摘を受けているが,原子力規制委員会がどのようなところを注視
 し,評価するのかをより丁寧に理解することが必要ではないだろうか。この対応で審査が長引い
 た場合には社員の士気にも影響するので,きちんと対応いただきたい。

<柏崎刈羽原子力発電所で発生した核物質防護事案を踏まえた当社の対応状況>

・本事案では,社会から原子力発電所を運転する資格があるのかという非常に厳しい見方もされて
 おり,他社で起きた事象が北陸電力でも起きるのではないかと言われるおそれがあるということ
 を肝に銘じていただきたい。

・志賀原子力発電所に団体で見学に行ったことがあるが,入構に必要な書類を忘れてきた人は発電
 所内に入れなかった。それくらい厳重であった。東京電力HDの事案が起きたのは非常に残念で
 あるが,北陸電力には他の電力会社に真似されるくらいにしっかり取り組んでいただきたい。

・核セキュリティの問題については,なるべく多くの人によく施設を見ていただくことが理解増進
 に役立つが,セキュリティの観点から,広くオープンにできないこともある。そのあたりのバラ
 ンスに配慮しながら,理解をいただくための努力をしていかなければならない。

・本事案では,情報が適切に上がっていない状況が見られたが,北陸電力では必要な情報が途中で
 止まらないような仕組みになっているのか,改めて確認しておく必要があると思う。

・東京電力HDが策定した対策や独立検証委員会が指摘したことを北陸電力にそのまま当てはめる
 必要はない。それぞれの仕組みや規模に合わせ,北陸電力としてどうあるべきなのかをよく考え,
 社員一人ひとりが腑に落ちる形で改善策を実行していただきたい。

・核セキュリティにとって,トップのリーダーシップが大変重要であり,核セキュリティに対する
 組織の価値観をどこに置くかということや核セキュリティの問題は国際的な問題につながるとい
 う認識をきちんと持たなければいけない。

・原子力発電所に対する内部・外部からの脅威について,我が国では幸いこれまで大きな危険にさ
 らされることはなかったが,核セキュリティの分野はその対応のための人手や意識が必ずしも充
 分ではなかったと思う。今後,緊張感を持って核セキュリティの改善に努めていくことが原子力
 関係者全体にとって極めて大事なことであり,今回の件を契機に核セキュリティの向上に是非会
 社を挙げて取り組んでいただきたい。

<緊急時対応体制の充実に向けた取組み>

・緊急時対応体制の充実について,実効性が上がるような良い取り組みをしていると思う。しかし,
 原子力関係者は福島第一事故の際に発電所内で何が起きたかの知識は持っていても,オフサイト
 (発電所外)の知識を有しているのかについて疑問を抱くことが少なくない。例えば避難といっ
 ても引っ越しを何度も繰り返している方が多いことなど実態をどれくらい把握しているだろうか。
 発電所の運営にあたり,住民の目線や思いに寄り添うためにも,福島第一事故から幅広く学び,
 原子力安全の一層の向上を目指して頑張っていただきたい。

・日本中でいろいろな自然災害が起こっており,石川県でも最近地震が多発したり,竜巻が発生す
 るなど,県民は心配している。そういう事態に対応できるよう,北陸電力においては,常日頃か
 ら様々な自然災害も想定した訓練をしっかり行っていただきたい。

<全般>

・断層について,活動性があるのかないのかという1か0かという判断を求めるような時代から,
 活動性がどのくらいなのかという確率論的な考え方,不確かさを見ていく考え方も取り入れてい
 くべき時期に来ているのではないかと思う。断層の活動性ばかりに注目するのではなく,施設の
 安全設計とあいまって安全を確保していると言うことが重要である。原子力事業者の方々には,
 一歩下がって原子力安全というものを統合的に見ていくというような広い視点を忘れずに持って
 いただきたい。

・社会的な要求としてダイバーシティ(多様性)があり,北陸電力の原子力部門においても,その
 考えをもっと取り込む必要がある。一方で,原子力安全の実現には,女性比率の限界もあると思
 う。そうした中,女性比率目標はどれくらいなのかをきちんと考え,かつその実現を踏まえた多
 様な個人個人のニーズに対応していくような体制をとらないと,北陸電力あるいは原子力部門が
 社会から遅れをとってしまうことを懸念している。ダイバーシティについてより積極的に取り組
 み,それが社外からも見える形にすることにより,地域の信頼につなげていただきたい。

・この会議にもいろいろな分野の委員が入っているのは,多様な考えを持った人たちが様々な意見
 を出せれば,多面的な見方ができるのではないかという考えによるものと思うので,そうした意
 見を真摯に聞き,事業運営に活かしていくことが大切である。

・北陸電力は志賀原子力発電所の安全性向上工事等に大きな投資を行っており,大変な経営判断だ
 ったと思うが,これも電気事業者として電力の供給責任を果たすという大きなミッションを遂行
 するための決断だったと思う。原子力安全の更なる向上を図り,地域の方々の理解を得て再稼働
 につなげられるよう,これからも一歩一歩尽力していただきたい。

<当社の受け止め>

・この会議は,志賀1号機臨界事故の再発防止対策の定着とともに,原子力安全に関する社会のご
 理解と信頼性向上を目的に設置したものである。今後も臨界事故を風化させないことを経営の根
 幹に据えていくことに変わりはない。事故から学んだ教訓を日々の事業運営に活かし,新規制基
 準,核物質防護及び緊急時の対応も含め,ハード面の対策はもちろんのこと,組織文化のような
 ソフト面についても,トップから現場の第一線まで,しっかり浸透させていく。

・また,ダイバーシティについては,全社大での取組みを強化しているが,原子力部門においても
 非常に重要だと認識しており,対応を図っていく。

・今後とも委員の方々から頂いた貴重なご意見を事業運営に反映していきながら,安全・安心を大
 前提に,地域の皆さまにご理解いただき,志賀原子力発電所の一日も早い再稼働に向けて最大限
 取り組んでいく。




会議の様子1

会議の様子2

会議の様子3

会議の様子4