マンスリーレポート(2024年1月分)
志賀原子力発電所の概況、トピックス、運転保守情報について等、毎月レポートいたします。
1.概 況
(1)志賀原子力発電所1号機
1月は定期検査のため停止していました。(2011年10月8日より第13回定期検査を実施中)
(2)志賀原子力発電所2号機
1月は定期検査のため停止していました。(2011年3月11日より第3回定期検査を実施中)
2.トピックス
1月は、ありませんでした。
3.事故・故障等の情報
志賀原子力発電所における事故、故障等に関する情報です。
これは、法令・安全協定等に基づき、国、石川県、志賀町等関係自治体に連絡しているものです。
発 生 月 日 |
連 絡 月 日 |
件名・事象の概要 |
連 絡 区 分 |
2024年 1月1日 | 2024年 1月1日(公表済) |
①令和6年能登半島地震の発生について 志賀原子力発電所1、2号機は停止中のところ、令和6年1月1日16 時10 分、能登半島地震(志賀町:震度7、発電所地下2階:震度5強、志賀町沿岸を含む津波予報区:大津波警報発表)が発生しました。また、本震を含め、1月31 日までに連絡区分Ⅰに該当する地震は合計82 回観測されています。 この地震による放射線モニタの指示値に変動はなく、外部への放射能等の影響はありません。 地震発生直後から、各設備の点検を行っておりますが、現在までに以下の事象が確認されています。 ②1号機起動変圧器からの油漏れ及び放圧板の動 作、噴霧消火設備の起動 ③2号機主変圧器からの油漏れ及び放圧板の動 作、噴霧消火設備の起動 ④2号機励磁電源変圧器の放圧弁の動作 ⑤発電所前面の海面上での油膜確認 ⑥発電所前面の海面上での新たな油膜確認 ⑦1号機使用済燃料貯蔵プール水の飛散 ⑧2号機使用済燃料貯蔵プール水の飛散 ⑨1号機主変圧器及び所内変圧器の放圧板の動作 | 安全 協定 |
2024年 1月1日 | 2024年 1月1日 1月2日(公表済) |
②1号機起動変圧器からの油漏れ及び放圧板の動 作、噴霧消火設備の起動 ・1月1日、1号機起動変圧器からの絶縁油約3,6 00リットル(推定)が、堰内に漏えいしたこと 及び放圧板が動作したことを確認しました。ま た、噴霧消火設備を手動起動しました。 ・放圧板の動作は、地震による絶縁油の揺れに伴 う力によるものと考えています。また、同地震 により放熱器の一部が損傷し絶縁油が漏えいし たものと考えています。 ・1月2日、漏えいした絶縁油約3,600リットル (推定)を回収しました(雨水等を含め約4,200 リットル)。 ・点検の結果割れが確認された放熱器上部配管接 続部と放熱器を切離し、起動変圧器を仮復旧で きないか検討するとともに、今後、放熱器、放 圧板の取り替えを実施します。 |
法令 及び 安全 協定 |
2024年 1月1日 | 2024年 1月1日 1月2日(公表済) |
③2号機主変圧器からの油漏れ及び放圧板の動作、
噴霧消火設備の起動 ・1月1日、2号機主変圧器から絶縁油約3,500 リットル(推定)が、堰内に漏えいしたこと及 び放圧板が動作したことを確認しました。 また、噴霧消火設備が自動起動しました。 ・主変圧器の内部故障に伴い絶縁油が熱分解を起 こしてガスが発生することで変圧器内部の圧力 が上昇し、放圧板が動作したものと考えていま す。 ・1月5日、漏えいした絶縁油約19,800リットル (推定)を回収しました(雨水等を含め約24,60 0リットル)。 ・今後の点検結果を踏まえ、放圧板を含めた変圧 器の修理方法について検討します。 |
法令 及び 安全 協定 |
2024年 1月1日 | 2024年 1月3日(公表済) |
④2号機励磁電源変圧器の放圧弁の動作
・1月1日、2号機励磁電源変圧器の放圧弁が動 作し、導油管を通じて絶縁油約100リットル(推 定)が、堰内に漏えいしたことを確認しました。 ・地震により変圧器内部の絶縁油が揺れることで 内圧が一時的に上昇し放圧弁が動作したものと 考えています。 ・1月5日、漏えいした絶縁油約100リットル(推 定)を回収しました。 ・今後、放圧弁を新品と取り替えます。 |
安全 協定 |
4.運転保守情報
志賀原子力発電所における機器の修理等の運転保守に関する情報です。
これは、法令および安全協定には該当しませんが、連絡基準覚書等に基づき石川県、志賀町等関係自治体に連絡しているものです。
発 生 月 日 |
連 絡 月 日 |
件名・事象の概要 |
連 絡 区 分 |
2024年 1月7日 | 2024年 1月7日 (公表済) |
⑤発電所前面の海面上での油膜確認
・1月7日、志賀原子力発電所前面の海面上に油 膜(約5m×10m、約0.1リットル(推定))が 浮いていることを確認しました。1月1日の地 震時に変圧器絶縁油の漏えいが発生した際の噴 霧消火設備の作動により飛散し、その後の降雨 で側溝等を通じ前面海域に流れた絶縁油と考え ています。漏えい油は中和、回収等を行い、環 境への影響はありません。 | Ⅰ |
2024年 1月10日 | 2024年 1月10日(公表済) |
⑥発電所前面の海面上での新たな油膜確認
・1月10日、2号機主変圧器周辺の側溝に油膜が 確認され、その下流側の確認により、前面の海 面上に、油膜(約100m×30m、約6リットル (推定))が浮いていることを確認しました。 海岸部にオイルフェンスを設置しており、環境 への影響はありません。 |
Ⅰ |
2024年 1月1日 | 2024年 1月1日(公表済) |
⑦1号機使用済燃料貯蔵プール水の飛散
・1月1日、1号機使用済燃料貯蔵プールの波打 ち現象(スロッシング)を確認しています。 スロッシングに伴い、1号機で約95リットル (放射能量:約17,100Bq)のプール水が飛散し ましたが、外部への放射能の影響がないことを 確認しています。また、飛散した水のふき取り を実施しています。 ・1号機のプール水位はほとんど変化しておら ず、使用済燃料の冷却等の原子力安全の確保に 影響はありません。現在、使用済燃料を安定し て冷却中です。 |
Ⅱ |
2024年 1月1日 | 2024年 1月2日(公表済) |
⑧2号機使用済燃料貯蔵プール水の飛散
・1月1日、2号機使用済燃料貯蔵プールの波打 ち現象(スロッシング)を確認しています。 スロッシングに伴い、2号機で約326リットル (放射能量:約4,600Bq)のプール水が飛散し ましたが、外部への放射能の影響がないことを 確認しています。また、飛散した水のふき取り を実施しています。 ・2号機のプール水位はほとんど変化しておら ず、使用済燃料の冷却等の原子力安全の確保に 影響はありません。現在、使用済燃料を安定し て冷却中です。 |
Ⅱ |
2024年 1月1日 | 2024年 1月5日(公表済) |
⑨1号機主変圧器及び所内変圧器の放圧板の動作
・1月1日、1号機主変圧器及び所内変圧器の放 圧板が動作していたことを確認しました。この 事象に伴う油漏れはありませんでした。 ・今後、放圧板を新品と取り替えます。 |
Ⅲ |
2024年 1月17日 | 2024年 1月17日(公表済) |
⑩志賀原子力発電所1号機 非常用ディーゼル発電機
の試運転中における自動停止について 志賀原子力発電所1号機は停止中のところ、1月16 日 18 時42 分に発生した志賀町震度5弱(発電所地下2階:震度2、24.5 ガル)の地震後の保安確認措置※1のため、1月17 日16 時58 分に非常用ディーゼル発電機※2の1つである高圧炉心スプレイディーゼル発電機(以下「HPCSディーゼル発電機」)の機関を起動し、発電機を所内電源系統に接続する操作をしていたところ、同日17 時13分に自動停止しました。 なお、1月1日16 時10 分に発生した志賀町震度7(発電所地下2階:震度5強、399.3 ガル)の地震後の保安確認措置のため、1月3日に実施した試運転では問題はありませんでした。 その後、HPCSディーゼル発電機の外観目視点検、計器等の点検及び試運転等を実施したところ、設備に異常は認められませんでした。 1月17 日の試験時の所内電源構成等を確認したところ、HPCSディーゼル発電機が出力を上昇させにくい状態であったことから、逆電力継電器※3を動作させないために設けている時間内に必要な出力を上昇できずに自動停止したものと推定しました。 HPCSディーゼル発電機の試運転時に、負荷が取りやすい所内電源構成の状態で行うことを手順書に反映する等の対策を行ったうえで改めて試運転を行い、1月29日22 時37 分にHPCSディーゼル発電機を待機としました。 ※1 地震後に原子炉施設の健全性確認のために実 施する点検や試運転 ※2 発電所への外部電源喪失時に所内への電源を 供給するためのディーゼル機関駆動の非常用 発電機 ※3 所内電源系統からHPCSディーゼル発電機 側への電力の逆流入が生じた際に発電機を保 護するための継電器 |
Ⅲ |
連絡基準覚書とは、石川県、志賀町との間で締結した「志賀原子力発電所における石川県・志賀町への連絡基準に係る覚書」です。
連絡区分 Ⅰ : 直ちに連絡が必要なもの
連絡区分 Ⅱ : 区分Ⅰよりも緊急性の程度は低いが、速やかな連絡が必要なもの
連絡区分 Ⅲ : 保守情報として定期的(原則、翌月10日まで)に連絡することが適当なもの