プレスリリース・記者会見

「2023年度第2四半期決算」松田社長会見要旨

2023年10月31日
北陸電力株式会社


 本日は、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。日頃、皆さまには、当社の事業運営に格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
それでは、お手元の資料に基づき順次説明させていただきます。

 まず、お手元の資料1「2023年度第2四半期決算について」をご覧ください。
 はじめにスライド1の「販売電力量」ですが、小売販売電力量は、118億9千万kWhと、前年同期に比べ10億8千万kWhの減少となりました。これは、電灯においては、記録的な猛暑による冷房需要の増加があったものの、春先の気温が高かったことによる暖房需要の減少に加え、新型コロナウイルスの5類移行に伴う外出機会の増加、省エネ・節電意識の高まり等により需要が減少したこと、電力においては、契約電力の減少に加え、工場の稼働が減少したことなどによるものです。
 また、卸販売電力量は、18億2千万kWhと、前年度に比べ15億7千万kWhの減少となりました。これは、卸電力取引所等への販売が減少したことによるものです。 この結果、総販売電力量は、137億1千万kWhと26億5千万kWhの減少となりました。

 次に、スライド2で「連結決算概要」について説明いたします。中段の表をご覧ください。
 連結売上高(営業収益)は、4,079億円と、前年度に比べ329億円の増収となりました。これは、本年4月・6月からの小売・託送料金を改定したことなどによる増収によるものです。
 また、連結経常利益は700億円と前年度に比べ1,077億円の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は511億円と893億円の増益となり、4年ぶりの増収増益、2年ぶりの黒字となりました。
 なお、主要諸元として、為替は7円の円安、燃料については、原油・石炭・LNGとも前年度に比べ大幅に低下しております。

 スライド3およびスライド4「燃料諸元の価格推移について」をご覧ください。
 燃料諸元である「石炭」「LNG」とも至近では、価格が低下傾向にあります。
 一方、昨年はウクライナ侵攻以降、大幅に急騰しておりました。従って、「石炭」「LNG」とも昨年は上昇局面、本年は低下局面ということが見てわかります。

 次にスライド5「燃料費と燃料費調整額の期ずれ影響イメージ」をご覧ください。
 燃料費調整額の諸元は、約半年程度の期ズレがあります。
 まずは、図の右側、2023第2四半期については、燃調収入の諸元が2022年11月~2023年6月の比較的高い実績でありますが、実際の燃料は当該月に購入しますので、その時期ずれが発生します。今期は、燃料価格が低下局面であり、実際の燃料価格と燃調収入との差益が320億円発生しております。
 次に、図の左側、昨年第2四半期は今期とは逆で燃料価格が上昇局面であり、実際の燃料価格と小売収入となる燃調収入との差損がΔ440億円発生しております。
 前年対比では、今年度の差益320億円と前年度の差損Δ440億円で、差し引き760億円の好転となるタイムラグ差がありました。  

 続いて、スライド6で、前年度からの連結経常利益の変動要因について説明いたします。
 まず、悪化要因につきましては、総販売電力量の減少により160億円程度、水力の発受電量の減少で、2022年度と2023年度の影響を合わせて100億円程度、水力・火力発電所修繕など設備関連費の増加等により120億円程度の悪化。一方、好転要因として、昨年からの事業全般にわたる効率化を継続しており、中でも需給運用において日々きめ細かく管理、電力市場の積極的活用等を始めとする効率化の深堀りにより計80億円程度を捻出しております。
 また、卸電力市場低下により、再生可能エネルギー交付金が増加したことによる購入電力料の減少で、20億円程度、お客さまにお願いさせていただいた小売料金値上げにより500億円程度、託送料金値上げにより100億円程度、燃料費調整額のタイムラグとして前年度分が440億円程度、今年度分が320億円程度、それぞれ好転しております。これらにより連結経常利益が700億円となりました。
 今回は、燃料費調整額のタイムラグによる320億円の増収影響が大きく、タイムラグという一過性の他律要因を除くと380億円程度の利益水準となります。

 次に、スライド7で「2023年度業績予想および配当予想」について説明いたします。
 総販売電力量および連結売上高については、前回予想値から変更ございません。
 一方、業績予想については、第2四半期の電力市場価格低下に伴う購入電力料減に加え、安価な卸電力取引所購入などの需給運用の改善努力や、経費全般にわたる効率化の取り組みの推進を織り込み、前回予想値250億円から400億円に上方修正、親会社株主に帰属する当期純利益は前回予想値200億円から300億円に上方修正いたします。
 なお、第2四半期連結経常利益700億円に対して、2023年度連結業績見通し400億円としております。これは、冬季における燃料の調達環境が2022年度と同様にタイトになり、燃料価格が昨年度と同水準まで高騰し、タイムラグにより第2四半期の期ずれプラス影響がほぼ相殺されると見込んでいるためです。
 また、配当予想につきましては、2023年度中間配当は、大幅に毀損した財務基盤の回復を考慮し、本年4月に公表させていただいたとおり「無配」とさせていただきます。
 中間配当を「無配」とすることに対し、株主やステークホルダーのみなさまには大変申し訳なく思っており、深くお詫び申し上げます。
 また、2023年度期末配当予想につきましては、業績予想を踏まえ、復配すべき情勢であると判断し、「未定」から「1株当たり7.5円」に変更いたします。
 以上が2023年度第2四半期決算の概要になります。

 続いて、資料4「北陸電力グループ新中期経営計画 財務目標」についてご説明致します。
 ロシアによるウクライナ侵攻に伴う燃料価格・卸電力市場価格の高騰等により、当社グループを取り巻く経営環境が激変したことを踏まえ、新たな中期経営計画を今年の4月に公表しました。
 この計画の中では、特に注力すべき経営の3本柱として、①安定供給確保と収支改善および財務基盤強化、②地域と一体となった脱炭素化の推進、③持続的成長に向けた新事業領域の拡大を設定しています。
 この度、経営効率化の進捗状況や、足元の電力競争環境等を踏まえ、将来の事業運営について一定程度見通すことができるようになりましたので、新たに財務目標を公表いたします。

 資料中段の「新たに設定する財務目標と方針」をご覧ください。
 まず、財務目標として、連結経常利益、連結自己資本比率および連結自己資本利益率の3つの指標を設定しました。

 「連結経常利益」は、電力の安定供給や、カーボンニュートラル達成等の社会的使命を果たし続けるため、450億円以上を目指します。

 「連結自己資本比率」は、これらに対応していくための財務基盤を整える観点から、中期計画の最終年にあたる2027年度末に20%以上を目指します。
 また、今回新たに「連結自己資本利益率」いわゆるROEについて、資本効率を意識する観点から目標として設定し、株式市場での競争環境を踏まえ、8%以上の確保を目指します。

 続いて、成長投資と、株主還元に関する方針についてです。
 「成長投資」は、北陸地域のカーボンニュートラルの推進や成長事業に向け、2023~2027年度で総額1,500億円程度の投資をタイムリーに実施します。投資にあたっては、収益性を重視し投資を厳選します。
 「株主還元」については、毀損した財務基盤の回復を図りつつ、株主の皆さまの期待にお応えしてまいります。  

 これら財務目標の達成には、経営の3本柱を確実に実行していくことが重要と考えています。
 具体的な取組みとして、まず、安定的に電気をお届けするため、カーボンニュートラルの要でもある志賀原子力発電所の早期再稼働に向けた取組みや、設備更新等を着実に実施します。また、収支改善に向け、引き続き徹底した効率化や需給収支の最大化等に努めてまいります。
 地域と一体となった脱炭素の推進や、持続的成長に向けた新事業領域の拡大のため、本年9月に「投資委員会」を設置しました。この投資委員会において、経営判断する際に、客観的かつ多角的な視点から事業の確認・評価を行うとともに、投資の優先度合いを見つつ、カーボンニュートラル推進や成長事業に向けた投資を積極的に行ってまいります。
 以上が、新たな財務目標の概要となります。

 最後に、資料5「北陸電力DX戦略」についてご説明します。
 本年7月、生産性向上の旗振り役を担う「業務改革・DX推進プロジェクト室」を設置しました。全社的な業務改廃およびデジタル技術を活用した業務改革の検討を進めています。この取り組みの一環として「北陸電力 DX戦略」を策定しましたので、この場でご紹介させていただきます。
 DXの推進は、日本社会全体の課題であり4D(フォーディー(脱炭素化、分散化、デジタル化、人口減少))の動きが加速するなど、経営環境が大きく変化する当社にとって取り組みだと考えています。

 今回策定した「DX戦略」は、全社一丸となってDXを推進していくために取りまとめたもので、大きく3つの方針と、具体的な6つのActionで構成しています。
 資料の左側、1つ目の方針「生産性向上」では、デジタル技術の活用による「業務の高度化」と「柔軟・効率的な働き方」に取り組みます。
 次に、2つ目の方針「新たな価値創造」については、デジタル技術を活用し、ほくリンクサービス向上など「新たな付加価値サービスの提供」や既存の電気事業の枠にとらわれず、幅広く「地域の課題解決に貢献」するサービスの創出に努めてまいります。

 これら2つの方針を支える取組みが「変化に対応可能な環境整備」になります。経営環境の変化に迅速・柔軟に対応する「システム基盤の見直し」を進めるとともに、当社のDXを推進していく「DX人財の育成」を図ってまいります。
 当社は、電力の安定供給確保を大前提に、生産性向上の取り組みを進めるとともに、「DX戦略」に基づき、お客さまや地域の課題解決に資する新しい付加価値を創造し、DXでビジネスを加速・進化させ、「新中期経営計画」や「2050年の将来像」の実現を目指してまいります。
 なお、本戦略は、更なる当社のブランド価値向上のため、経済産業省が定める「DX認定」の取得を近く申請する予定です。

 私からの説明は以上になります。

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