プレスリリース・記者会見

「規制料金の認可申請について」松田社長会見要旨

2022年11月30日
北陸電力株式会社


 本日は、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。日頃、皆さまには、当社の事業運営に格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。

 それでは、「規制料金の認可申請について」お話させていただきます。 資料1をご覧下さい。

 これまで当社は、東日本大震災以降、志賀原子力発電所の停止が長期化する中、全社をあげて徹底した経営効率化に取り組み、規制料金につきましては現行料金を維持してまいりました。
 しかしながら、ウクライナ紛争等に伴い燃料価格が急騰し、これまでに経験したことのない高い水準で推移しています。当社の現行規制料金の燃料調整額が、本年2月より上限に達し、さらに拡大している状況にあります。
 この結果、今年度の収支見通しは、1970年代のオイルショックや震災直後の収支悪化をはるかに上回る1,000億円の損失という、過去最大の赤字となる見込みであります。
 これまで、緊急経営対策本部を立ち上げるなど、コストダウンをはじめ徹底した経営効率化を進めてまいりましたが、この効率化をはるかに上回る供給コスト増となっております。このままでは、燃料の安定調達や電力設備の保全など電力の安定供給に万全を期すことに影響を及ぼす虞があります。
 国際情勢が混沌とし、早期の情勢回復も見通せないことから、お客さまにはご負担をおかけすることになり、大変心苦しい限りではありますが、電気料金の値上げを実施することとし、本日、来年4月1日からの値上げについて、経済産業大臣に規制料金の認可申請を行いました。
 なお、経済産業大臣への認可による値上げは、昭和55年以来、42年ぶりの申請となります。
 料金の算定にあたっては、東日本大震災以降、これまで取り組んできた経営効率化に加え、更なる経営効率化として最大限の施策を反映しており、今後、施策の実現に向けて全社を挙げて取り組んでまいります。
 お客さまに大変なご負担をおかけすることになり、誠に心苦しい限りではございますが、何卒、当社の置かれた状況についてご理解を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、低圧および高圧以上の自由料金メニューにつきましては、現在、具体的内容を精査中のため、詳細が固まり次第、改めてお知らせいたします。

 それでは、値上げの具体的な内容について、別紙1「規制料金の認可申請の概要」でご説明いたします。
 スライド2をご覧ください。
 まず、今回の認可申請の対象について、ご説明いたします。
 今回申請の規制料金は一般家庭および小規模な工場・商店等のお客さまを対象としており、具体的な料金メニューとしましては、従量電灯や低圧電力になります。対象のお客さまについては、ご家庭のお客さま全体、約115万件のうち55万件程度となります。
 なお、自由料金であるオール電化メニューのお客さまや高圧・特別高圧のお客さまについては、詳細が決まり次第、改めてご案内いたします。

 スライド3をご覧ください。
 申請原価の概要について、2008年改定の現行料金原価との比較でご説明いたします。
 原価の算定にあたっては、国の規定に則り、2023~2025年度の3年間を原価算定期間とし、事業運営に必要なコストを算定しております。
 また、申請原価には、震災後、これまで取り組んできた効率化に加え、更なる効率化として、最大限の施策を反映しております。
 しかしながら、ウクライナ紛争による燃料価格等の高騰により、燃料費等の可変費は3,020億円増加し、効率化による固定費の減少が116億円あるものの、申請原価合計では5,737億円となり、2,904億円の大幅な増加となっております。

 スライド4をご覧ください。
 参考として、燃料価格・卸電力市場価格、為替の推移を記載しております。先ほど申し上げたとおりであり、特に当社の主力である石炭価格は、上昇が激しく過去に経験のない水準に達しており、高騰が続いております。

 次にスライド5をご覧ください。
 今回の原価算定の主な前提諸元ですが、販売電力量につきましては、260億kWh程度、そのうち、規制部門の販売電力量につきましては、17億kWh程度を想定しております。
 燃料価格は、いずれの燃種も大幅に上昇しており、特に、石炭価格は378$/tと、現行原価に比べて、約5倍の水準となっております。
 また、発電電力量の構成つきましては、原子力は19%から3%と大きく減少し、その分は石炭、LNGといった火力発電でまかなう形となります。

 次にスライド6をご覧ください。
 原価算定上の志賀原子力発電所の取り扱いについて、ご説明いたします。
 現在停止中の志賀原子力発電所2号機の再稼働につきましては、新規制基準適合性審査を経て、地元のご了解をいただいた後に行うこととなりますが、審査状況を踏まえると、現時点では、具体的な再稼働時期を正確に見通せる状況にはありません。
 しかしながら、原価算定上は、審査が最大限効率的に進むことを前提に、志賀原子力発電所2号機の再稼働時期を
2026年1月としております。これにより、火力燃料費等の抑制による、原価の低減を織込んでおります。
 なお、1号機については、原価算定期間中の稼働は見込んでおりません。

次に7スライドをご覧ください。
 今回、料金原価の算定にあたり反映した経営効率化について、ご説明いたします。
 申請原価には、「震災後、これまで取り組んできた効率化」366億円に加え、AI技術を活用した最適な設備・需給運用等の「更なる効率化」132億円を反映し、総額497億円の経営効率化を織り込んでおります。
 その他の経営効率化の具体的な内容につきましては、別紙2に記載の通りでございます。
 今後、これらの施策の実現に向けて、全社を挙げて取り組んでまいります。

 次に8スライドをご覧ください。
規制料金原価と改定幅について、ご説明いたします。
 「料金算定規則」に則り算定した結果、規制料金原価は584億円となり、一方で、現行料金を維持した場合の収入の見込みは401億円であることから、収入不足額は184億円となります。
 このため、お客さまには大変なご負担をおかけすることになり、誠に心苦しい限りでございますが、2023年4月1日を実施の予定といたしまして、平均11.12円/kWhの値上げをお願いさせていただく次第であります。
 そのうちの大宗を占めます燃料費調整額の上限超過分につきましては、本年2月以降、燃料費調整額が上限に到達したことにより、燃料価格の上昇分を、これまで当社が負担してまいりましたが、その金額は既に7.15円/kWhにも達しております。今回改定において、規制料金のお客さまにつきましても、自由料金のお客さま同様、ご負担をお願いさせていただくものです。
 なお、その他の影響についてですが、これは主に、現行料金に比べ、志賀原子力発電所の稼働が減少し、その分を、石炭火力をはじめとする火力発電等でまかなうことになるため、この影響によるものです。

 次に9スライドをご覧ください。
 規制料金の主なご契約メニューの改定影響につきまして、平均的なご使用量を用いて、お示ししております。
 お客さまの実際のご負担額は、メニュー毎のご使用状況等により変動いたしますが、例えば、従量電灯Bでは、燃料費調整額の上限超過分の影響が+1,810円(+28%)、それ以外の影響が+886円(+14%)となり、あわせて+2,696円となり、42%程度の値上げとなります。

 次に10スライドをご覧ください。主なメニューの料金単価について記載しております。
 今回の料金改定においては、基本料金は現行料金を維持したうえで、電力量料金を改定しております。今回申請の対象となる全てのメニューの料金単価につきましては、別紙3の「電気料金単価表」に記載しております。

 次に11スライドをご覧ください。
 2023年4月に予定されております託送料金見直しの小売料金への反映について、ご説明いたします。
 現在、経済産業省において、来年4月からの新たな託送料金制度の導入に向けて、審査が行われております。今後、北陸送配電を含む一般送配電事業者各社は、新託送料金について、経済産業大臣の認可を受けることが予定されており、当社としましても、大臣認可後の託送料金を電気料金に反映させていただく予定です。
 なお、見直しによる影響額は、現在の北陸電力送配電の申請ベースで申し上げますと、低圧のお客さまの場合+1.28円/kWhであります。

 次に12スライドをご覧ください。
 今回の料金改定に関するお客さまへのご案内やご説明についてですが、申請に至った背景、経営効率化の取組み、申請の内容等に加え、電気を効率よくお使いいただくための節電・省エネ方法等についても、丁寧なご説明させていただきます。
 具体的には、当社ホームページに特設サイトを開設し、詳細かつタイムリーに各種情報のご提供を行うとともに、お客さまに料金改定に関する文書を郵送または電子メールにて個別にお送りさせていただきます。
 また、北陸3県の各地において、お客さま説明会を開催し、丁寧なご説明に努めてまいります。なお、開催日程・場所等の詳細については、今後、改めてご案内させていただきます。
 また、本日より専用ダイヤルを設置いたします。お客さまからの料金改定へのお問合せに対し、丁寧にお答えしてまいります。

 次に13スライドをご覧ください。
 今ほどご説明しました、当社ホームページに開設する料金改定に関する特設サイトについて記載しております。電気料金の影響額シミュレーションや、節電・省エネに関する情報について、ご提供してまいります。
 14スライド以降は、料金原価を構成する費用ごとの具体的内容等について記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。

 最後に役員報酬の扱いについて口頭でご説明いたします。
 今般、お客さまにご負担をお願いする状況となったことを重く受け止め、役員報酬を、この11月から当面の間、現行から10%自主返納させていただくことにいたしました。
 当社の役員報酬は、震災以降、役員賞与不支給により20%削減し、また今年度からは業績連動報酬制度の導入により、さらに5%削減いたしております。今回の自主返納は、そこからの更に追加しての削減になります。
 改めてにはなりますが、燃料費の高騰等、当社の経営努力だけでは如何ともし難い供給コスト増加が発生しております。このままでは、電力の安定供給にも影響を及ぼしかねない状況でございます。
 お客さまには大変なご迷惑やご負担をおかけし、誠に心苦しい限りではございますが、この状況を改善するために規制料金の値上げ申請をさせていただきました。これからも丁寧な説明に努めてまいります。皆様には、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 次に、ご家庭用のお客さまの節電・省エネ促進支援についてご説明いたします。
 資料2をご覧ください。

 当社は、今般の電気料金の改定を機に、少しでもご負担の抑制につなげていただくために、お客さまの節電・省エネの促進に繋がる取組みを実施いたします。
 具体的には、「お客さまの節電の促進支援」、「エコキュートの利用による省エネ促進支援」、「太陽光導入による節電促進支援」の3つになります。

 詳しくは、別紙にてご説明いたします。

 まず1つ目の「お客さまの節電の促進支援」ですが、既にご案内している「みんなde節電チャレンジキャンペーン
2022冬」は、国の節電促進事業と連動して実施しているもので、本キャンペーンに参加登録するだけで2,000円相当の特典を進呈いたします。
 また、節電に成功した場合の特典もご用意しており、今回、当社からの特典を倍増することといたしました。
 さらに節電に関しては、ほくリンクアプリの新サービス開始を12月下旬に予定しております。
 具体的には、当社が前日に指定した日時にお客さまに節電していただき、その節電量に応じてほくリンクポイントを進呈するというものです。

 2つ目は「エコキュートの利用による省エネ促進支援」についてです。
 エコキュートは抜群の省エネ性を有する機器であり、この省エネ給湯器であるエコキュートを利用いただき、電気の使用量を抑制いただく取組みです。
 具体的には、エコキュートを新規に購入されたお客さまのうち抽選(3人に1人の割合)でほくリンクポイントを進呈するものや、12月下旬に開始予定の新サービス「エコキュートのリースサービス」において、サービス料を3カ月間無料といたします。

 最後に3つ目の「太陽光導入による節電促進支援」としては、当社がご家庭向けに提供している「Easyソーラー」に、新規お申込みいただいた方にもれなくサービス料を3カ月間無料といたします。

 また、当社は、その他にも「冬の節電術応募でのほくリンクポイント進呈」や「出かけて節電による粗品進呈」などの実施も予定しております。

 これらの取組みについては、本日より、当社ホームページに特設ページを開設してご紹介しており、それぞれの取組みのページからお申込みいただくことができます。
 詳しくは、資料の裏面に記載の通りです。

 お客さまには、ぜひ、各取組みを活用いただき、節電や省エネに取り組んでいただきながら、電気料金のご負担抑制につなげていただければと考えております。
 当社としても、お客さまの電気の使用量削減に繋がる様々な取組みについて、引き続きご提案してまいります。

ページの先頭へ