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専門家は何ていっているの?

電磁界の健康影響について、国内外の専門機関による総合的な評価では、「居住環境における電磁界が人の健康に影響を及ぼすという確たる証拠は認められない」としています。


日本国内での評価

経済産業省
1993年
現時点において、居住環境で生じる商用周波磁界により人の健康に有害な影響があるという証拠は認められない。
また、居住環境における磁界の強さは世界保健機関(WHO)の環境保健基準などに示された見解に比べ十分低い。
環境省
1995年
現時点では、電磁界曝露の健康影響の有無について結論付けることはできない。
WHO環境保健基準の知見を修正するに足る報告は無い。
電気学会
1998年
電磁界の実態と実験研究の現状で得られた成果をもとに評価すれば、「通常の居住環境における電磁界が人の健康に影響を与えるとは言えない」と結論できる。
経済産業省
(電力設備電磁界対  策WG報告書)
2008年
現時点では磁界の長期的な健康影響の可能性については不確かさが大きいため、因果関係があるといえるほどの証拠は見当たらない。したがって、このような影響を考慮した磁界規制には科学的合理性がなく不適切である。
少なくとも、国際的な暴露ガイドラインに基づき対処することが、磁界の健康影響から人体を防護するために現時点で最良の施策である。
これらを踏まえて国及び電気事業者に対して政策を提言する。



国際的な評価

全米科学アカデミー
(NAS)
1996年


細胞、組織そして生物(人を含む)への商用周波電磁界の影響に関して公表されている研究の総合評価に基づき本委員会は、現在の主要な証拠は、これらの電磁界への曝露が人の健康への障害となることを示していないと結論する。
特に、居住環境での電磁界の曝露が、がん、神経や行動への有害な影響、あるいは生殖・成長への影響を生じさせることを示す決定的で一貫した証拠は何もない。
国際非電離放射線
防護委員会
(ICNIRP)
1998年
短期的影響に関する確立された証拠に基づいて、磁界の制限値を設定。
長期的影響は確立されているとは考えられず、疫学研究データだけでは曝露制限設定の根拠とするには不十分である。
<60Hzに対する磁界の曝露制限値(参考レベル)> 職業者:416.7μT、公衆:83.3μT
米国国立環境
健康科学研究所
(NIEHS)
1999年
同研究所は、1999年6月、米国RAPID計画の最終報告書となるNIEHS報告書を公表しました。
報告書の結論として、「電磁界曝露が健康リスクをもたらすとの科学的根拠は弱い」としています。
英国放射線防護局
(NRPB 現:HPA)
2001年
実験研究は、低周波電磁界ががんをもたらすという十分な証拠を提供しておらず、また疫学研究も、小児白血病の小さなリスクと関連しているといういくつかの証拠はあるが、全体的に見ればがんをもたらすことを示唆してはいない。
国際がん研究機関
(IARC)
2001年
静的および超低周波の磁界と電界が、人間にとって発がん性を持つかどうかについて評価した結果、超低周波磁界は「人にとって発がん性があるかもしれない グループ(2B)」に分類され、静電界、静磁界および超低周波電界については、「人の発がん性に関して分類できない グループ(3)」に分類された。
世界保健機関
(WHO)
2007年
100μTを遥かに超える高レベル電磁界の急性曝露による短期的な影響については確立されており、国際的な曝露ガイドライン(ICNIRP等)を守ることによって防ぐことができる。
低レベル電磁界長期的曝露と、小児白血病との関連についての因果関係における証拠は弱いことから、以下を推奨。
・更なる研究プログラムを推奨すべき
・すべての利害関係者との、効果的で開かれたコミュニケーションプログラム構築を奨励
・新たな設備建設や装置設計時に、曝露低減のための低費用な対策が探求されることは良いが、恣意的に低い曝露制限を設けることは是認されない
国際非電離放射線
防護委員会
(ICNIRP)
2010年
1998年に公表したガイドラインのうち、1Hz~100kHzの部分を最新の科学的知見に基づいて見直した。
・短期的な影響[急性影響]
 有害な影響とはみなされていない網膜閃光現象の閾値を根拠として、職業者に対する制限値を導出し、その
 制限値を5分の1とした値を一般公衆に対する制限値として設定している。
・長期的な影響[慢性影響]の可能性
 低周波の磁界への長期ばく露が小児白血病のリスク上昇と因果的に関連することについての既存の科学的
 証拠は、ばく露ガイドラインの根拠とするには非常に弱い。
<60Hzに対する磁界の曝露制限値(参考レベル)> 職業者:1,000μT、公衆200μT