能登半島地震に伴う七尾大田火力発電所への影響
七尾大田火力発電所の現況
「令和6年能登半島地震」の影響により、当時、運転中の七尾大田火力発電所1号機、2号機は、保護装置が正常に作動して自動停止しました。 地震による設備被害は甚大ですが、適切に点検・補修を行い、夏季の高需要期までの発電再開を目指して復旧工事を進めています。
主な設備に関する現況をご説明いたします。
【地震発生前の七尾大田火力発電所】
発電設備の主な損傷
ボイラーの管やタービン、発電機の軸受け部品(油切り)、電気集塵器の碍子などが損傷しました。
1号機の損傷状況(3月19日現在)
損傷箇所 | 損傷状況 | 復旧状況 |
❶ ボイラー吊下げ管 ※1 | 管の変形、配列に乱れが発生 | 補修作業中 |
❷ ボイラー横置き管 ※2 | 分岐部に割れが発生 | 補修作業中 |
❸ ボイラー配管防振器 ※3 | 防振器の脱落 | 取替作業中 |
❹ タービン、発電機軸受け部品 | 軸受け部品変形 | 補修作業中 |
➎ 電気集塵器 ※4 | 碍子※5の割れが発生 | 取替作業中 |
※1 ボイラーの燃焼室に吊下げ、蒸気を加熱するための管
※2 ボイラーの燃焼室の後流に設置し、水または蒸気を加熱するための管
※3 ボイラー配管の振動を吸収し配管を支持する装置
※4 ボイラー排ガス中のばいじん(燃焼に伴って発生する微粒子)を捕集する装置
※5 荷電されている放電極と支持梁を電気的に分離する部品
2号機の損傷状況(3月19日現在)
損傷箇所 | 損傷状況 | 復旧状況 |
❶ ボイラー吊下げ管 ※1 | 管の変形 | 補修作業中 |
❷ ボイラー横置き管 ※2 | 管を支持する金物が外れ管位置が下がる | 補修作業中 |
❸ ボイラー壁管 ※3 | 管の割れが発生 | 取替作業中 |
❹ ボイラー配管防振器 ※4 | 防振器の脱落 | 取替作業中 |
➎ タービン、発電機軸受け部品 | 軸受け部品変形 | 補修作業中 |
➏ 電気集塵器 ※5 | 碍子※6の割れが発生 | 取替作業中 |
※1 ボイラーの燃焼室に吊下げ、蒸気を加熱するための管
※2 ボイラーの燃焼室の後流に設置し、水または蒸気を加熱するための管
※3 ボイラーの壁を構成し、水または蒸気を加熱するための管
※4 ボイラー配管の振動を吸収し配管を支持する装置
※5 ボイラー排ガス中のばいじん(燃焼に伴って発生する微粒子)を捕集する装置
※6 荷電されている放電極と支持梁を電気的に分離する部品
発電所内の主な設備、構内の損傷状況(写真は全て1月4日の状況)
払出機
石炭の払出機(貯炭場に保管された石炭を発電設備へ運搬する装置)1台が倒壊
<復旧状況>(3月19日現在)
復旧方法を検討中
積付払出機
積付払出機2台のうち1台に沈下が認められましたが、もう1台については大きな損傷はありませんでした。
<復旧状況>(3月19日現在)
沈下した箇所を盛土、整地済み
揚炭機<アンローダー>
石炭船で海上輸送された石炭を、船から発電所へ荷揚げする「揚炭機」2台のうち1台が、走行レールの変形・脱落により走行車輪が脱輪し、損傷しました。脱輪していない1台については、点検を行い大きな損傷はありませんでした。
<復旧状況>(3月19日現在)
走行車輪の脱輪を復旧済み、走行レールの補修準備中
煙突
高さ200mの煙突上部で、煙突を支える部材の一部である「支持鉄塔斜材」に座屈や破断がありましたが、煙突としての機能に問題はありません。
<復旧状況>(3月19日現在)
支持鉄塔斜材を補修中
発電所の構内道路
構内の道路は、陥没や亀裂などが多数発生しました。
<復旧状況>(3月19日現在)
陥没した箇所を盛土・補修済み
主変圧器
主変圧器に取り付けられている保護装置の一つである放圧装置が作動し、変圧器内部の絶縁油の一部が排油管より排出されました。
なお、発電所構外への絶縁油の流出はありません。
<復旧状況>(3月19日現在)
油を回収、放圧板を取替え済み