経営効率化の取り組み

  • 東日本大震災以降、志賀原子力発電所の停止に伴う燃料費の増加等、厳しい経営環境に対処すべく、全社を挙げて経営効率化に取り組んでまいりました。今回の原価算定にあたっては、震災後、これまで取り組んできた効率化366億円に加え、AI技術を活用した最適な設備・需給運用等をはじめとする、更なる効率化132億円を反映し、総額497億円の経営効率化を織り込んでおります。

経営効率化の取り組み

<更なる効率化>

人件費

  • 役員報酬、給料手当の見直し等により、更なる効率化として23億円の人件費削減に取り組んでまいります。
  • 当社はこれまで、他社以上の年収水準の引き下げ・福利厚生制度の縮小を実施してまいりましたが、今回申請にあたり、人件費の更なる効率化に向けて、労働組合に申入れを行っております。
  • 引き続き、安定供給の確保を大前提に、従業員のモチベーションにも十分に配慮し、更なる労働生産性の向上に取り組んでまいります。

人件費効率化の内訳

需給関連費(燃料費・他社購入電力料・他社販売電力料)

  • これまで、LNGコンバインドサイクル発電の導入により、火力発電の熱効率向上を進めてまいりました。これらに加え、今後はAI技術を活用した設備運用や定検期間の更なる短縮により、需給関連費用の効率化に努めてまいります。
  • また、燃料の調達にあたっては、安定性や需給変動に迅速かつ適切に対応し、経済的な調達を 進めてまいります。

需給関連費効率化の内訳

資本費・修繕費

  • 設備工事の資機材調達に際しては、引き続き、競争発注の拡大に取り組んでいくとともに、上流購買の推進による更なる調達価格の低減を図ってまいります。
  • また、積極的に新技術の導入による工法等の見直しを進め、設備投資・修繕費の低減に取り組んでまいります。

資本費の内訳、修繕費の内訳

その他経費

  • その他経費においては、「2022緊急経営対策本部」でのコスト削減の取り組みを織り込むとともに、設備投資・修繕費と同様に、上流購買の推進による資材調達価格の低減を織り込み、更なるコスト削減に取り組んでまいります。

その他経費の内訳

(参考)これまで取り組んできた効率化

経常費用の推移

  • 当社は、2000年の電力の小売部分自由化以降、全社をあげて経営効率化に取り組み、人件費、資本費、修繕費等の固定費について、20%削減してまいりました。
  • 一方で、燃料費等の可変費は、2011年の東日本大震災による志賀原子力発電所の停止に加え、ウクライナ紛争等による燃料価格・卸電力市場価格の高騰により、大幅に増加(273%)しております。

経常費用の推移

経常費用の推移(販売電力量あたり費用)

  • 販売電力量(小売販売+卸販売)あたり費用単価については、固定費は経営効率化等により低減している一方、燃料費等の可変費は、2011年の東日本大震災以降の志賀原子力発電所停止により3円/kWh程度上昇し、2021年度以降は、ウクライナ紛争に伴う燃料価格・卸電力市場価格の高騰により上昇しております。

経常費用の推移(販売電力量あたり費用)

設備形成・運用の効率化(設備投資)

  • 安全最優先を大前提として、安定供給に必要な設備形成・更新に取り組む一方、工事内容の精査や競争発注比率の拡大等により、設備投資額の抑制に努めてまいりました。
  • 近年は、志賀原子力発電所の停止に伴い高稼働となっている石炭火力発電所のトラブル対応・高経年化対応工事が増加しておりますが、過去25年間のピークであった2000年度に比べ55%削減しております。

設備形成・運用の効率化(設備投資)

設備形成・運用の効率化(修繕費)

  • 修繕工事の実施にあたっては、安定供給を最優先に、設備の点検・補修内容の見直しを行うなど、費用の削減に努めてまいりました。
  • 2006年の志賀原子力2号機の運転開始に伴う原子力修繕費の増加(主に定検修繕費の増加)により、2011年度には電源計で407億円、販売電力量あたり修繕費は1.4円/kWhまで上昇しました。
  • その後、火力発電所の高経年・高稼働による補修費用の増加はあるものの、2021年度の販売電力量あたり修繕費は1.0円/kWhとなり、ピークであった2011年度に比べ29%低減しております。

設備形成・運用の効率化(修繕費)

設備形成・運用の効率化(水力発電電力量の拡大)

  • 北陸地域の豊富な水資源の有効活用を図るため、発電に使用されていない河川維持放流水の活用や新規水力発電所の開発、既設発電設備の改修等による水力発電電力量の拡大を積極的に行っております。

設備形成・運用の効率化(水力発電電力量の拡大)

設備形成・運用の効率化(水力発電電力量の拡大)

  • 既設水力発電設備の改修により、発電出力・発電電力量の増加を実現しております。
  • 設備改修時には、CFD解析技術を活用したランナ羽根形状の改善等により、水車効率の向上を図っております。

設備形成・運用の効率化(水力発電電力量の拡大)

設備形成・運用の効率化(LNGコンバインドサイクル発電の導入)

  • 2018年11月、当社初のLNG火力発電所となる富山新港火力発電所LNG1号機が営業運転を開始しました。
  • 一層の電源多様化により安定供給の確保を図るとともに、石油より経済性に優れ、環境負荷の少ないLNGコンバインドサイクル発電の導入により、燃料費の削減に取り組んでおります。
  • また、2020年10月には、燃料の調達環境等も踏まえ富山新港火力発電所1号機(1974年運開・石油)を休止し、設備維持費用の低減を図っております。

設備形成・運用の効率化(LNGコンバインドサイクル発電の導入)

燃料調達の効率化

  • 当社は、これまで石炭において調達選択肢の拡大や輸送の効率化により、燃料調達コストの低減と安定調達に努めてまいりました。

燃料調達の効率化

業務運営の効率化(人員の効率化)

  • 従業員数については、法改正への対応に伴う60歳以上の再雇用者の増加(雑給に係る人員増)はありますが、業務効率化を推進し採用数を抑制するなど人員効率化に取り組んできた結果、全体としては2021年度に5,500人まで減少しております。
  • 労働生産性を示す1人あたり販売電力量については、震災後、志賀原子力発電所の停止による卸販売電力量の減少等により低下しておりますが、2021年度には2000年度に比べ20%向上しております。

業務運営の効率化(人員の効率化)

業務運営の効率化(採用抑制)

  • 当社は、2000年の電力の小売部分自由化以降の競争拡大に対応するため2003年度~2005年度を中心に大幅な採用抑制を行ってまいりました。
  • 2008年度以降は、団塊世代の退職者増加、新規電源開発(水力・LNG火力)や高経年設備改修等の将来にわたり安定供給を担う人材を確保する観点から採用数を見直しましたが、2011年の東日本大震災以降は厳しい経営状況に鑑み、更なる人員効率化を図るため、採用抑制を継続しております。

業務運営の効率化(採用抑制)

業務運営の効率化(人件費の削減)

  • 当社は、2005年度に賃金制度や福利厚生制度の抜本的見直しを実施する等、他社が震災後に実施した施策に先駆けて取り組み、人件費の削減に努めてまいりました。
  • その成果として、分社化前年の2019年度は2002年度と比べ185億円削減し、販売電力量あたり人件費は23%低減しております。

業務運営の効率化(人件費の削減)

【参考】 組織の統廃合、業務の集中化

  • 組織の統廃合や業務の集中化によって、業務運営の効率化を進めてまいりました。

【参考】 組織の統廃合、業務の集中化

業務運営の効率化(諸経費の削減)

  • 諸経費についても、経営効率化に取り組んできた結果、分社化前年の2019年度は、分社化に向けたシステム委託費等を除くと、2012年度に比べ74億円削減し、販売電力量あたり諸経費は19%低減しております。

業務運営の効率化(諸経費の削減)

保有資産のスリム化

  • 当社は、事業所の統廃合や社宅など厚生施設の廃止を進めるとともに、土地をはじめとする保有資産の売却を実施してまいりました。
  • 有価証券についても、保有の必要性等を見極めた上で売却を実施し、資産のスリム化を図っております。
  • 今後も、電気事業および当社グループの安定的事業運営や企業価値向上のため、保有資産の有効活用・売却を実施してまいります。

保有資産のスリム化

資材調達における効率化

  • 当社は、競争発注の拡大に加え、まとめ発注、設計・仕様の見直し等の様々な発注方法の工夫により、資材調達価格の低減を図ってまいりました。

資材調達における効率化