志賀原子力発電所1号機は、定格出力で運転中のところ1月10日(土)、2台ある復水器(*1)のうち1台の出口導電率(*2)に上昇が認められ、出力降下を開始しましたが、導電率の上昇傾向が継続したため、原子炉を手動停止しました。 
        環境への放射能の影響はありませんでしたが、地域のみなさま方にご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。 
        これまで、原因調査を実施してまいりましたが、その結果を以下のとおりお知らせいたします。 
        今後とも、安全の確保を最優先に努力してまいりますので、なにとぞご理解を賜りますようお願い申し上げます。 
        なお、1月17日から第4回定期検査を実施しています。 
        1.経緯 
         
        1月10日(土) 
        8時17分:復水器出口導電率の上昇を確認 
        定格出力(54万キロワット)で運転中のところ、2台ある復水器(A,B)のうち1台(B)の復水器出口の導電率に上昇が認められました。 
        8時35分:出力降下開始 
        その後も、導電率の上昇傾向が継続しました。 
        9時47分:原子炉手動停止 
        1月11日(日) 
        9時30分:復水器内部調査を開始 
        午 後 :海水の漏えいした細管 1本を発見 
         
        1月12日(月) 
        午 前 :漏えい細管の近傍に金属片を確認 
        細管の損傷箇所を確認 
        午 後 :金属片が第2給水加熱器(B)防熱板(*3)破損片の一部であることを確認 
        防熱板の破損状況、原因調査を開始 
         
        2.調査結果について 
        2.調査結果について 
         
        調査の結果、以下のように確認しました。 
         
        (1)導電率上昇の原因 
        復水器(B)上部の細管1本に小さな損傷(長さ約8mm,幅約1.5mm)が認められ、そこから海水が漏えいしたため導電率が上昇したことがわかりました。 
        その他の細管には異常は認められませんでした。 
         
        (2)細管損傷の原因 
        ・損傷が認められた細管の近傍に金属片(幅約12cm,長さ約30cm,厚さ約1.5mm,重さ約300g)を発見しました。 
        ・この金属片はその上部にある第2給水加熱器(B)の防熱板(*3)の破損片であることを確認しました。なお、その後の調査で4つの金属片を確認し、全てを回収しております。 
        ・細管の損傷状況及び細管近傍に発見された防熱板破損片の調査等から細管の小さな損傷は、近傍に発見された防熱板の破損片が落下した際に当該細管に衝突したために生じたものであると推定しました。 
         
        (3)防熱板破損の原因 
        ・防熱板が、破損した原因は、防熱板を給水加熱器に取付けるための板の長さが設計寸法より短く、防熱板の溶接穴と板がずれていたため、この部分の栓溶接(*4)が十分でなくなり、当該溶接部に欠陥が生じ、ここを起点にき裂が発生、さらに蒸気の流入などにより、き裂を促進させ、破損、脱落したものと推定しました。 
        ・復水器内に設置された全ての給水加熱器の防熱板について、目視点検した結果、上記以外には異常は認められませんでした。 
        念のため、さらに詳細な調査を行った結果、肉眼では見えない小さなひびが17カ所(検査総数1,500箇所)ありました。 
        ひびが発生した原因は、溶接時に十分な配慮がなされていなかったために生じたものと推定しました。また、この部分に加わる力が小さいことから、ひびの急速な進展はないものと推定しています。 
        (添付資料):主要系統図 
          
         
        復水器細管及び給水加熱器防熱板の損傷状況 
         
          
        3.対策について 
          
        4.環境への影響について 
         
        ・外部への放射能の影響はありませんでした。 
        ・今回のトラブルに対する通産省による国際評価尺度(INES)の暫定評価 
        は、「評価対象外」です。 
         
        (*1)
        <復水器> 復水器とはタービンを回したあとの蒸気を、冷却水(海水)で冷し、水(復水)に戻す設備のことです。冷却水は海から取水し、復水器内部にある細管を通って再び海に放出されます。 
        なお、細管が損傷しても復水器内は真空状態のため、復水器内部の水が冷却水(海水)の流れている細管に入りこんで、外部へ流れ出るということはありません。 
        (*2)
        <導電率> 復水器で冷却された水中の不純物(海水等)の混入量を示すものです。(単位μS/cm:マイクロジーメンス毎センチメートル(1センチメートルあたりの電流の流れやすさ) 
        (*3)
        <給水加熱器> 復水器からの復水を原子炉に戻す過程で、復水をタービンの蒸気により再加熱する機器のことです。確認された金属片である防熱板は給水加熱器を保温する役割をしています。 
        (*4) <栓溶接>
        防熱板と取付け用の板を溶接する際、防熱板に穴をあけ、穴の部分を取付け用の板に重ね、穴をふさぐように溶接する方法のことです。 
         
        (添付資料):防熱板損傷対策図 
          
         
          
          
          
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