当社は、志賀原子力発電所1号機の復水器細管漏えいに伴う原子炉手動停止や配管溶接部に係る熱処理(焼鈍)温度記録の疑義問題が、製作施工段階で生じたことに鑑み、類似設備をはじめとする発電所設備の点検、品質保証活動の強化等の再発防止対策を実施してまいりました。
本日、その結果について石川県、志賀町及び富来町へご報告申し上げましたのでお知らせいたします。
当社といたしましては、今後、品質保証活動の強化策を的確に実施し、安全安定運転に万全を期してまいります。
以上
[解説] 再発防止対策の実施について(報告書概要)
当社は、原子力本部長(副社長)を委員長とする原子力本部会議において、再発防止対策工事、設備の点検及び品質保証活動の強化に関する基本方針を決め、それに基づき以下の対策を実施しました。
1.復水器細管漏えいに伴う再発防止対策工事
漏えいした復水器細管の取り外し及びその両端部への閉止用短管取付工事、給水加熱器防熱板の取替工事を実施しました。
なお、今後、定期検査時に防熱板取付ボルト等を入念に点検します。
2.発電所設備の点検確認
(1) 製作図、品質管理記録等の点検
- 給水加熱器以外の機器について、栓溶接部がないことを確認しました。
- 製作図から加工図に転記して製作している機器について、転記ミスがないことを確認しました。
- 機器が製作図どおりに製作・施工されていることを、品質管理記録により確認しました。
(2) 現場における設備の点検
- 原子炉系、タービン系、発電機系などの発電所の機器全般について、入念に点検し、健全性を確認しました。
- 防熱板損傷に関する類似箇所の点検として、給水加熱器を製作した会社が納入した全機器について点検し、健全性を確認しました。
- また、振動や水・蒸気等の流れの影響により、発電支障の可能性がある機器についても点検し、健全性を確認しました。
- 焼鈍記録に疑義のある9箇所の配管溶接部について健全性を確認しました。
- ポンプ等の機器、給水系等の系統毎の試験・検査を実施し健全性を確認しました。
3.品質保証活動の強化
(1) 品質保証体制の強化
品質保証推進委員会の委員長を、原子力本部長(副社長)とするとともに、本店原子力部門及び発電所の品質保証担当を増強し、品質保証体制を強化します。
(2) 受注者の外注先に対する管理の強化
- 当社は受注者の外注先を承認するにあたり、品質保証体制等についても調査・確認するよう改善します。また、製作時等には受注者の外注先に対し、品質保証活動状況を確認するため、品質保証監査を実施します。
- 当社は受注者に対し、外注先の品質管理を確実に行うよう要求し、受注者の品質保証監査時にその状況を確認します。
(3) 当社社員等の品質保証に関する意識高揚等
- 発電所員や関係会社社員を含む発電所業務に携わる関係者全員の品質保証意識の一層の高揚を図ります。
- 現場の品質管理面のパトロールを充実します。
(4) (株)日立製作所に対する品質保証活動強化の指導
当社は(株)日立製作所に対し、品質保証活動の強化を指示しました。これに対し、日立製作所から以下の改善策の報告を受け、品質保証監査で、改善策の実施状況を確認しました。
- 外注先の品質保証活動の管理・指導等を行うための組織を新設し、外注管理の強化を図ります。
- 溶接関連資格制度を強化するとともに社員教育を充実します。
- 焼鈍作業中に巡回点検員が温度記録紙へサインします。
- 熱交換器の製作段階で、チェックシートにより寸法の不適合を防止します。
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